ネットに関するナレッジを共有するために

2010年1月21日 お茶の水女子大学 坂元 章

これまで、ネットの持つ問題性が盛んに指摘され、その対策について議論されてきた。実際に対策として、法的あるいは自主的な規制を始めとし、ホットラインの設置、フィルタリングの導入、情報モラル教育など、多様なものが実行されてきた。

こうしたネットに関する議論は、今後も続いていくと考えられる。とくに2008年の6月に成立し、2009年の4月から施行されている、いわゆる「青少年インターネット環境整備法」は、3年以内に見直しをすることとなっている。この法案の検討段階においても活発な議論が行われたが、今後の見直しの際にも再び議論が行われるであろう。

そうした議論においては、ネットについての十分なナレッジを一人一人が持ったうえで、それが行われることが求められる。ネットの問題は多面的であり、単純な議論や解決が妥当には見えない。豊かなナレッジによって議論が深まり、より妥当で適切な解に到達するのではないかと思われる。

安心ネットづくり促進協議会には、調査企画委員会があり、その下に調査検証作業部会がある。

この作業部会では、取り組みの一つとして、ネットに関するナレッジを広く共有していただくための活動を行うこととしている。ネットに関する、さまざまな情報を提供し、少しでも多くの方がより多くのナレッジを持っていただくことに貢献するとともに、そうした情報をいつでもすぐに見えるようにして、今後のネットに関する議論において活用していただくことを企図している。

情報の提示にあたっては、共有すべき妥当なナレッジを提供しようとする観点から、次の2つに留意する方針である。

第一に、基本的にできるだけ客観的な情報を提示する。ここでは、さまざまなネットに関する事例を紹介するが、あくまで事実を提示するにとどめ、その評価や解釈はできるだけ行わない。評価や解釈は、これを見る人に委ねる。

第二に、できるだけ多様な情報を偏りなく提示する。情報が一面的では議論の深まりには貢献しにくいと考えられる。もとよりネットの問題は多面的であり、一面的な情報は正確でもない。

こうした方針を完全に実行するのは容易ではないかもしれないが、チェックを怠らず情報提示が方針に沿うよう努力をしていきたい。

是非、ここで提供する情報をご参照下さり、そのナレッジを今後のネットに関する議論において多少でも活用していただければと考えている。この場がそうした議論のために十分参考になるものになればと願っている。