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「いしかわ子ども総合条例改正について」
石川県PTA連合会副会長 坂井浩明氏インタビュー

カテゴリー: 各地の取り組み(ケータイ所持規制) / インターネットの安心・安全をめぐる動き

持たせないことは解決ではないが‥

携帯を持たせることは解決ではないとしながらも、原則、小中学生に携帯を持たせないという宣誓文を発表した石川県PTA連合会。副会長である坂井浩明氏にPTAの立場から、発表に至った経緯とこれからの課題について伺った。

石川県の携帯所持規制に至る経緯を遡って調査している。県議会で「いしかわ子ども総合条例」の改正案が可決される4ヶ月前、2009年2月に石川県PTA 連合会は、「原則、小中学生に携帯電話を持たせない」という宣言文を発表している。これに至る経緯、そして県PTAのスタンス、課題などを、石川県PTA 連合会副会長 坂井浩明氏に伺った。

不所持宣言に至る経緯と意味

—PTAとして携帯電話が問題と認識されたのはいつ頃ですか?

坂井:県としては2008年、地域活動委員会という委員会で、ネット犯罪が社会問題化してくる中、子どもたちを守る取り組みを考えておりまして。ご承知の通り、石川県には先進的な取り組みを行っている野々市町 ※1 がありますよね。その活動主体である「ののいちっ子を育てる町民会議」の方が各市町PTAで携帯の利便性と危険性について講演をされてまして、その頃から県PTAとしても携帯の問題を取り扱ってみようという動きがあったように思います。

—PTAとしては、携帯に係わる問題のどこを重視したのでしょうか?

坂井:特に、この部分といったように重点的に絞っている訳ではないです。ネットの怖さというものは、今までは外来者以外に家に入ってこなかったが、携帯電話によって誰もが24時間入ってこれるようになってきたことです。携帯電話を持たせないというのがすべての解決策にはなる訳ではないんですが、まずは歯止めとして持たせないことで、ネットの利便性もあるが怖さもあるという啓発を親に対して行いたかったというのがあったんですね。

—そもそも子どもに携帯を持たせるようになってきたのは、地域で育むといった機能が働かなくなっているせいなんですかね?

坂井:野々市町でこの動き(携帯電話不所持運動)が出たきっかけはそれなんですよ。野々市町は人口の流入が多く、携帯電話に係わる犯罪、問題が少しずつ出てきたころに、地域をいかに良くしていくかというところから始まったのではないでしょうか。阪神大震災の時にコミュニケーションがとれている地域は、死亡者が少なかったという話がありますよね。携帯電話も地域社会のコミュニティを促進するツールとして機能すれば、もっと支持されると思うんですよ。例えば防災情報やPTA情報等の配信など地域情報が携帯を通じてコミュニケーションするような仕組みがあるとか。私は昭和35年生まれですが、昭和50年代に生まれた親世代と携帯電話に対する考え方がやや違うように思います。世代によって微妙にとらえ方に差があるのではないでしょうか。我々の世代でも地域のコミュニケーションが薄れてきていまして、そこを携帯がフォローできれば、ありがたいツールになり得るんでしょうね。

—子どもが携帯を持つメリットとして、携帯だとお礼が言いやすい、口下手な子でも意見が言える等があります。親としては悩みながらも子どもに携帯電話を持たせ、リスクはうまく回避できないかと思っているんですけど。

坂井:デジタルデバイトの問題もあるので、持たせないことは解決ではないことは分かっているんです。だけれども12、13という未熟な歳で社会的理解力の無い子どもに、使って良い場悪い場を判断させるのは難しいということで、やっぱり持たせられないというのも理解できるんです。

あの宣言文は、今後撤回したり、文章を変える可能性も十分あり得るということで出したんです。なぜなら携帯、地域も変わっていくのならば、時代や環境の変化で対応しなければならない柔軟な姿勢が必要だと思っているからです。PTA特有の問題として、役員が2年ぐらいでどんどん替わるんですね。私も今年度で終わりですし、来年以降もこの考えを継続して申し送っていける体制にしていきたいですね。

—引き時が難しい、ということですね。

坂井:そうですね。見直す際に、その時の役員が「私の代で変えたらなんか言われるか」というのもあるでしょうし。そういう申し送りの弊害もあるんですよ。ただ時代の状況を捉えて柔軟に対応できる団体であると私は思いますけどね。

※1 金沢市に隣接する野々市町では、2003年から小中学生に携帯電話を持たせない運動を展開している)

課題が残る保護者へのアプローチ

—県の条例改正ですが、PTAはこれに対してどのようなスタンスなのでしょう?

坂井:PTAとして理事会や委員会で結論を出したわけではないですが、最終的判断をするのは親というのが前提とするならば、考える場や意見交換する場の提供等が大事であろうと思うんですね。キャリアからはツールや啓発のための資料を提供されていますが、関心のある人は見るし、関心のない人は見ないわけです。問題のない層、問題のある層があり、どんな条例を出そうとやぶる人はいます。そのどちらでもない中間層に対して、条例は考えさせる機会を与え、少し踏みとどまってみよう等のきっかけ作りに対して大きな影響があると思うんですね。すべてを解決するような絶対策を講じるのは難しいですが、どっちにも行く中間層を問題のない層へもっていく役割を、PTAは果たしていければと思っています。

—親のリテラシーですね。親自身も勉強する必要がありますが、そのツールはどこが提供するべきなのでしょうか?

坂井:キャリアからのものも必要だと思いますが、それだけでは無理ですね。キャリアの人に怒られてしまうかもしれませんが、キャリアが自分のサービス、機能を熟知していないんです。機能について質問しても、ぱっぱっと答えられないんです。継続的にキャリアとに対するユーザーの信頼がないといけない。こうなっているから安心なんだということを、末端まで分かっていないのに販売するのでは、まだまだだと思います。もちろん親も勉強していかなければいけないですけど、親の啓発のための努力を、キャリアがする必要があるんですよ。またそれに加えて、身近にいる親同士のコミュニケーションの場として、PTAが提案やお手伝いをするべきだと考えています。

—PTAが親に働きかけるというのは、一番期待されているところですよね。

坂井:携帯電話に関しては、金沢、野々市、加賀、能登と地域によって温度差があり、全県的に上からおろしていくのはPTAとしても難しいんです。最終的には判断するのは親ですが、だれかが説明し、利便性と危険意識を持たせる努力ををしなければならない。

フィルタリングに関しては、販売店、キャリアさんが実際の窓口で努力をしてもらいたいですね。公に認めてもらうようなツールや説明書は作っておられますけど、作っただけで終わっていますし、まるで保険の規約のように読まないものになっています。

またキッズケータイに関しても、爆発的に売れているほどではない。そういうモデルを作ったからと言っても、責任を果たしたことにはならないでしょう。継続的に携帯電話を持たすのであれば、親の注意を常に喚起する仕掛けなどが今後、必要になってくるでしょうね。

—一番聞いてもらいたい、無関心層をひっぱりだす作戦は?

坂井:それは全国どこのPTAとしても永遠のテーマでしょうね。県のPTA連合会は市のPTAの代表が集まっていまして、上からものをいう立場の組織構成ではないんですね。各学校のPTA会長がポリシーを持って個々に活動し動かすというのが最終的な形ですし、PTAの原点なんです。県のPTA連合会が個々の会員の意識の向上をすれば良いのですが、上からではなく下からの動きの方が良いですね。それに対して県PTAの具体策は、今の段階では正直、難しいですね。

—その場合、条例はツールとして有効なんでしょうか?

坂井:なり得る可能性はあると思いますよ。最終的には子どもと親、親から地域へと。一人でもそう思う親がいれば、学校だけではなく地域全体に広がっていきます。私は能美市のPTA連合会の会長ですが、PTA以外の他の団体で講演する機会があり、子どもの携帯に関しても「おじいちゃんやおばあちゃんが買い与えている携帯電話について考えてみましょう。」と敬老会等で問題を投げかけたり、意識を持ってもらおうとしているんですよ。いかに末端まで広げていくかがキーになると思います。

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