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「インターネットを安心安全に利用してもらうための取り組み」
~Yahoo! JAPAN編(Yahoo!きっず、震災対応について)~

ヤフー株式会社 事業戦略統括本部 箕輪憲良氏インタビュー

カテゴリー: 情報モラル・リテラシー教育 / フィルタリング / インターネットの安心・安全をめぐる動き / 震災時のICT関連企業の対応

子どもが安全にネットを利用できる環境づくりがIT企業の使命

ヤフー株式会社 事業戦略統括本部 箕輪憲良氏

日本最大級のポータルサイトYahoo! JAPANの子ども向けサービスについて話を伺った。子どもが安心安全にネットを利用するために、どのような取り組みをしているのか、有害情報に対するサービス環境をどこまで整備しているのかについて現状を紹介する。また東日本大震災に対して、IT企業として取り組まれたこと、役割についても伺った。

今回はヤフーの子ども向けサービスの提供についてお話を伺いました。子ども向けポータルサイトの提供や、ペアレンタル・コントロールへの取り組みの現状をご紹介します。

Yahoo!きっずが考える子どものネット環境とは

-ネット企業としてのヤフーさんの企業理念、とりわけ子どもに対する取り組みへの広がりを教えてください。

Yahoo! きっず

箕輪)弊社では、1997年の上場と同時にYahoo!きっずを立ち上げ、子どもに対するネット環境整備を進めています。一貫した理念として、(1)子どもが安心して利用できるネット環境の提供 (2)質の高い情報の提供 を掲げています。ネット環境は現代の子どもの成長に欠かせない場であり、そういった環境を整えることは企業の社会的責任でもあると考えています。そこで弊社では有害情報が含まれないような検索サービスを整えるなど、子どもへのネット環境を整備しています。現在はYahoo!きっずという子ども向けポータルと、Yahoo!あんしんねっと、というフィルタリングサービスを提供しています。

-子どもたちの利用はいかがですか?

箕輪)Yahoo!きっずは小学生から中学生を想定したサービスですが、実際の利用が高まるのは、小学校で調べもの学習が始まる4~5年生あたりからです。そうしたことを踏まえて、調べもの学習に役立つ学習ページを用意するなどより使いやすいサイトづくりを進めています。

-子どもたちがネット端末を使いこなすことにスキルの問題はありませんか?

箕輪)ワークショップに参加してくれる子どもの様子をみていると、基本的に大人の使える端末なら、大人より早く使いこなすようになると実感しています。その点で、大人の端末を適当に与えておいて、「子どもの範囲内で使うだろう」と安心していると、思わぬ使い方をして危険な情報にアクセスしないとも限りません。子どもは大人よりデジタル端末へのハードルが低いことを大人が意識してネット環境を与える必要があります。そのため、iPhone用のYahoo!きっずなどのサービス提供の他、ワークショップなどを通じて、よりよいネットの利用者・情報の発信者となるような将来の人材の育成に、少しでも寄与できたらと思っています。

親子の話し合いの場としてのペアレンタル・コントロール

-子どもたちがネットを利用する際の保護者のかかわりについてお聞かせください

箕輪)有害情報対策としてフィルタリングの利用が勧められていますが、フィルタリングにすべてを委ねるのではなくではなく、親子で話し合う中で、保護者が適切に子どものネット利用を見守っていくという「ペアレンタル・コントロール」の考え方を普及させていきたいと考えています。

Yahoo!あんしんねっとでは、子ども一人ひとりのIDごとにフィルタリングのレベル(「小学生以下」「中学生」など)や、ジャンル毎のブロックなどを細かく設定することができます。利用したい特定のサイトだけをアクセス許可することも可能ですから、子どもの成長段階に合わせて、「このサイトでは何が見られるの?」など親子で話し合いながら利用していただきたいと思います。

また、Yahoo!あんしんねっとではネット利用の時間を管理する仕組みも提供しています。ネット利用は平日なら何時間、土日はすこし長めに何時から何時まで、など、子どもに時間管理も含めた上手な利用の仕方を伝えるツールとして使うことができます。なによりこうしたペアレンタル・コントロールを行うことで、家庭内でのよりよいネット利用について話し合う機会が日常的に持たれることがもっとも望ましいと考えています。

-保護者の方のスキルに問題はないですか?

箕輪)PTAなど保護者の方を対象とした講習なども行っています。その際、あまりネットのリテラシーが高くない保護者の方もいらっしゃいます。細かな設定をすることが難しい場合はYahoo!きっずをトップページに設定するだけで、コミュニケーションサイトやショッピングサイトなどをブロックできます。フィッシングなどの違法サイトもブロックされるため安心です。そして、保護者向けのガイドなども用意しておりますので、よりよいネット利用を、子どもと一緒に勉強していただけると嬉しいですね。

-アメリカなど海外でのペアレンタル・コントロールの考え方は進んでいますか?

箕輪)ペアレンタル・コントロールの考え方はお国柄や文化に関わる部分なので一概にはいえないかと思います。アメリカではアダルト雑誌が子どもの目に届く環境で販売されている場合は、すぐに保護者が厳しい管理を求めてきます。それと同じく、ネット環境でのペアレンタル・コントロールも当然のこととして考えられています。日本ではまだ浸透していませんが、世代が進むにつれてペアレンタル・コントロールが普通のこととして普及するとよりよいネット利用が更に進むと思います。

一か月あたり5000万人以上が利用しているヤフーは、自社の企業活動理念として、「ライフエンジン」を掲げている。東日本大震災を経て同社の取り組みが具体的にどのように動いてきたのかをテーマにお話を伺った。

メディアとしての機能提供を最優先に活動

-311発生直後の状況はどのようなものでしたか?

震災ポータル

箕輪)発生時点からメディアとして、情報を早く正確に更新し続けることを心掛けました。当初、手掛けたのは津波・地震情報、ボランティア、募金といった各情報の整備です。役員フロアに対応タスクチームを設け、迅速な意思決定、行動につなげることが最優先されました。

また、震災の影響により、アクセスが集中した公共性の高いサイトの閲覧がし難い状況が一部で発生しました。そこで、首相官邸や自治体、公共機関などのページキャッシュを行い、とにかく正確で必要な情報の提供が維持されることを第一優先として業務をすすめました。また、原発事故の発生以降では、節電の呼びかけや計画停電などの情報提供も積極的におこなっていきました。

-その後の活動のポイントについてお聞かせください。

箕輪)震災発生後、しばらくすると、各避難所ではネットが比較的利用できるような状況になっていました。このため、避難されている方が欲しい情報を想定した特徴のあるサイトサービスを心掛けました。ガソリンの在庫状況を表示したり、モバイルでのアクセスがあった地点を地図に表示したりすることで、モバイルネットが使える場所をわかるようにするなど新しい試みも積極的に試みました。また、IPアドレスでホーム画面の出し分けを行い、東北地方には被災者の方々への情報を、関東地方では計画停電の情報を出すなどして、トップページから見ている方の必要な情報がすぐにアクセスできるように工夫していました。

平時の積み重ねが有事の対応を決める

-震災時のお話を伺うと、企業活動の背後にある志の高さがあらためて感じられますね。ネット企業の社会に対する活動理念などがこうした際に顕在化するのですね。

箕輪)弊社では、弊社の活動が皆さまのライフエンジンとなって、「今日をすばらしく、明日は今日よりももっとすばらしい」と実感できる社会の実現に貢献したいと考えています。その一方で、今回の震災時に対応できたこと、対応できなかったことを振り返ると、やはり、即時対応できたことは、常日頃の業務での積み重ねを活かして、緊急対応したものであり、平時からの業務の充実や、他社さんや公共団体などとの関係を緊密にとっておくことの重要性などを改めて感じました。

子どもたちがこれから向かう先のネットの在り方とは

-被災地の子どもたちの訪問をされたそうですね。子どもとネットのよりよい未来について、ヤフーさんの考えをお聞かせください。

箕輪)被災地訪問では、子どもの順応性の高さ、希望を失わない明るさに大人が励まされていることを強く感じました。PTSD ※1 や学習機会の逸失といった問題は現実としてありますが、弊社としても出来る限り息の長い支援を考えていきたいと思います。

また、震災時におけるネット企業の取り組みに限らず、昨今のサイバーテロのような攻撃的な動きがネットを舞台として行われていることを考えると、今後のネット企業は他社やユーザー、地域社会などを巻き込んで問題解決にあたる体制を作り上げていくことが重要になると考えています。

箕輪氏と鎌田デスク

震災発生後に、弊社の1日あたりのアクセス数は23億ページビュー以上となり過去最高を記録しました。また、ある研究所が行った調査によると、「震災に関する情報提供で、重視しているメディア・情報源」として「ポータルサイトの情報」が4割を超すなど、「新聞の情報」を上回り「テレビ放送(民放)」に迫る結果となっています。今後も、すべての人々が早く正確な情報をいつでも入手できる場を提供していくこと、そしてヤフーの「ライフエンジン」というメッセージをもっと知っていただけるように活動をつなげていきたいと考えています。

※1 心的外傷後ストレス障害(しんてきがいしょうごストレスしょうがい、Posttraumatic stress disorder:PTSD)

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