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「子どもがインターネット、携帯電話(スマホ含む)を安心、安全に利用するための各省庁の取り組みについて(1)総務省編」
総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 消費者行政課 専門職 阿部かのみ氏インタビュー

カテゴリー: 情報モラル・リテラシー教育 / フィルタリング / 新たな端末・サービス / インターネットの安心・安全をめぐる動き / その他

変化し続けるネット社会には、スピード感を持って対応できる民間の取組みが重要

総務省 阿部かのみ氏

総務省が青少年インターネット環境整備法施行以降に取り組んできた施策や考え方について消費者行政課の阿部専門職に尋ねた。他省庁との役割分担を含め、今後の課題についても伺った。

総務省の取り組みについて

-青少年インターネット環境整備法が施行され、各省庁とも関連する取組を進められています。総務省での具体的な施策についてお聞きかせください。

阿部)フィルタリングの普及やネットリテラシーの向上といった取組が、スマートフォンの普及が進む現在においても基本的な姿勢となります。ただ、スマートフォンについては関係するビジネスプレイヤーが非常に多いこともあり、フィルタリングについても事業者間の連携が一層必要になってきているかと思います。
また、ネットリテラシーの重要性そのものは周知となってきましたが、スマ-トフォンの登場により、端末の機能や使い方等が格段に増大し、必要なリテラシーの範囲も拡大しています。そのため、実際の使い方を広く保護者の方などに伝えていかないと、「フィルタリングそのものについては知っているが、具体的に利用するにはどうしたらいいのか?」という段階で戸惑ってしまう保護者もいるのではないかと危惧しています。実際のフィルタリングサービスやペアレンタルコントロール機能、端末の使い方といった面のガイダンスなどでは、事業者の方とも連携して啓発を進めていくことが有効だと考えています。

-総務省の取組の現在の状況をお聞かせください。

阿部)総務省では、現在、青少年のインターネットリテラシーの可視化を最重要課題の一つとして進めています。従来のフィルタリングなどでは、ユーザーを小学生、中学生といった年齢などの属性でカテゴリー化していましたが、同じ小学生であっても個々の経験やリテラシーに大きな差があると考えています。個々のユーザーのリテラシーレベルを例えばレベルチェックのような指標で可視化できれば、よりきめ細やかな対応への一歩になると考え、現在インターネット上のリスク回避能力に重点を置いたリテラシー指標の策定に取り組んでいます。ただ、こうしたレベルチェックを経て、やはり必要になるのはリテラシーの向上ですから、こうした時間のかかる取組では、教育現場や家庭、関係する事業者などと連携して進めることが必須となると思います。

-事業者ではペアレンタルコントロールの提供などの取組を個別に進めているのが現状ですが、多くのビジネスプレイヤーが参入するスマ-トフォンについて望まれる対応とはどのようなものでしょうか?

阿部)各社の取組は進んできていると認識していますが、そうした取組、サービスが実際に青少年、保護者などのユーザーに周知され、利用される段階につなげていくことが重要です。こうした各社の取組についての情報を特定の民間団体などに集約し、ワンストップで利用者の知りたい情報がすべて入手できるような仕組みができれば大変有効だと思います。

阿部かのみ氏と高橋デスク-子どもに対する情報提供は学校など教育現場での対応が可能かと思いますが、同時に、こうした子どもに対する情報は大人にも周知される必要がありますね。保護者に限らず一般の方向けの周知の取組をお聞かせください。

阿部)一つの例としては、eネットキャラバン ※1 のような取組を今後も支援していくことが重要だと考えています。また、一般の大人・企業向けに普及啓発の取組を進めることにより、社会全体で子どもの安全を促進していくという意識の向上も重要だと思います。

※1 財団法人マルチメディア振興センター(FMMC)が、総務省や文部科学省等の協力を受けて、主に保護者、教職員及び児童・生徒向けにインターネットの安心・安全利用に向けた啓発活動を実施している。【e-ネットキャラバン】:「e-ネット安心講座 通信業界キャラバン」の略称

インターネットリテラシーの重点ポイント

-インターネットリテラシーの向上は先ほどご指摘があった通り、大変時間のかかる取組ですが、具体的に最重要で周知を進めるポイントはどのあたりでしょうか?

阿部)教育の場を中心としたインターネットリテラシー全体を向上させる取組は文部科学省でも進められているようですので、総務省では事業者の方との情報共有が密である点を活かして、よりスピード感のある施策をすすめたいと考えています。現在、インターネットトラブル事例集などを作成して、ホームページ上で公開していますが、こうしたリファレンスの存在などを周知することも大切だと思います。また、このようなトラブル事例集などをベースに、先ほど申し上げたインターネットリテラシーに関する指標を開発していますので、この指標を生かして効果的な普及啓発活動を行っていきたいと考えております。こうした取組を通して、ユーザーの方のより良い利用の推進に役立つことができるかと思います。

-インターネット上で青少年が未知の人間と知り合い、トラブルに巻き込まれるリスク(コンタクトリスク)について、日本では事業者の取組が進められていますが、海外ではこのあたりについてどのように考えられているのでしょうか?

阿部)海外ではコンタクトリスクの前段階として、まず子どものプライバシーの流出が心配されているようです。日本では実際の犯罪など、トラブルに巻き込まれることを想定した議論が進められてきたと思いますが、その前段階でのプライバシーの流出そのものにも対応が必要かと思います。OECDなどの国際機関でもインターネット上の青少年に対するリスクを、コンタクトリスクも含めて分類した上で、検討が進められています。インターネット上のリスクをわかりやすい形で周知することにより、より安全なネット利用を促進していきたいですね。

-やはり保護者を含めたユーザーが新しいコミュニケーション機能の使い方や目的に熟知すると同時に、ありうるトラブルの具体例や、解決法などを日々、アップデートしていくことが重要なのでしょうか?

阿部)はい。ただ、保護者にとって、必要な知識を日々アップデートしていくことはなかなか困難な側面もあると思いますので、そうしたリテラシー向上のためにリファレンスできる場がワンストップで提供されるとよいと思います。これまで様々な普及・啓発活動が行われてきたかと思いますが、実際に必要なユーザーに充分に行き届いてきたかという面で、課題が残っているのかと考えています。アクションを起こしていないユーザーに従来の活動をどのように広げていくかは大きな課題だと考えています。

フィルタリングについての見解

-スマ-トフォンのフィルタリングについてはどのようにお考えですか?

阿部)青少年インターネット環境整備法の成立時には、スマートフォンがここまで青少年に身近なものになるとは想定していなかったのではないでしょうか。スマートフォンに限らず、インターネットに関連する分野は常に変化が続いていくと考えられますので、事業者の方々が自主的取組として、その時々の状況に対応した取組を行っていく方向が現実的かと思います。特にスマートフォンについては関係するプレイヤーが増加していますから、責任分担が明確でない点もあるかと思いますが、青少年によるネット利用そのものが危険という捉え方をされないためにも、事業者の皆さんで積極的に解決策を出していく方向性が好ましいと考えます。

コミュニケーションの場としてのネット利用

-ネットでのコミュニケーションを通して第三者同士が出会うこと自体を危険視するユーザーもいます。一方で、コミュニケーションによって人々の関わりや調整が促進することをよい動きとしてとらえるユーザーも増えています。どのようにお考えでしょうか?

阿部)もちろん、全てのコンタクトを悪と捉えているわけではありません。ただ、子どもがユーザーであった場合は、トラブルに巻き込まれる可能性はどうしても成人に比べて高くなってしまうと思います。ネット利用が当たり前の環境になっている状況では、子どもを含めユーザー全員がネットに関するリテラシーを高め、ネットを安心安全に活用して頂きたいと考えています。

ネットに対する規制の考え方と今後の取組

阿部かのみ氏と高橋デスク-スマートフォン利用によって、海外と国内の事業者の土俵が重なりつつあります。こうした状況下で国内の自主規制が大きくなった場合、国内事業者のみがビジネスに制約を受け、海外の事業者はこれに縛られず、結果として国内事業者の活動が委縮するという危惧についてはどうお考えでしょうか?

阿部)そういったご意見については認識しています。まず、海外の事業者にも民間の自主的な取組には積極的に参加して頂きたいと考えています。また、総務省としては、安全性の高いサービス提供を国内の事業者が強みとして海外に普及を広げていけるよう支援したいと考えています。ネット上の青少年保護の取組は日本が進んでいる部分もあり、後発の国の参考事例にもなるかと思います。
インターネットのような変化の激しい環境の整備については、民間のプレイヤーの活動を注視しつつ、足りない部分を政府がケアしていくという考え方がなじむと思います。OECDや他の諸国と協議する際にも日本の事業者の自主的取組などを積極的に紹介していきたいと考えています。

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