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「文部科学省委託事業『ケータイモラルキャラバン隊』」
北九州市PTA協議会研修会(2013年3月2日開催)

カテゴリー: 情報モラル・リテラシー教育 / フィルタリング / 子どもの利用実態 / 新たな端末・サービス / 各地の取り組み(ケータイ所持規制) / インターネットの安心・安全をめぐる動き / その他

子どもたちが情報社会に向き合うために、大人がやるべきこと

北九州市で2013年3月2日に開催されたケータイモラルキャラバン隊では、事業者の取り組みについて紹介があり、その後、文科省、各地の取り組みについての話があった。会場参加者からの質問も受け付ける形で、家庭でのコミュニケーションの取り方、学校、地域でのコミュニケーションの取り方について議論が交わされた。

研修会の様子

パネリスト:

桑崎 剛氏 (安心ネットづくり促進協議会 特別会員)
川又 竹男氏 (文部科学省 スポーツ・青少年局 青少年課長)
山田 英嗣氏 (ソフトバンクモバイル(株) 約款・サービス部 課長、TCA青少年有害対策部会)
西 雅彦氏 ((株)ディー・エヌ・エー カスタマーサービス部 部長)

コーディネーター:

曽我 邦彦氏 ((社)日本PTA全国協議会 元会長)

事業者の取り組みについて

山田)私は契約約款の作成や青少年問題の取組を担当しておりまして、携帯電話事業者の立場から、スマホの具体的なリスクや、サービス内容についてお話したいと思います。電気通信事業者協会(TCA)の青少年有害対策部会では、携帯・PHSサービスを提供する5社が青少年問題などの課題について情報交換し、対策を検討するため月に1~2回、話し合いを行っております。ソフトバンクモバイルは青少年有害対策部会の部会長社を務めており、私も参加しております。

青少年のネットトラブル対応としてよく知られたものはフィルタリングの使用ですが、スマホのフィルタリングは無線LAN環境では有効にならないなど、機能が限定されていることは皆さんもご存知かと思います。3G、LTEといった携帯電話回線で接続する場合には事業者が提供するフィルタリング機能が有効ですが、ファーストフード店などで利用できる無線LAN環境で接続すると無効になる場合があります。この対策として、アプリでのウェブフィルタリングというものがあります。アプリが接続したサイトの内容をあらかじめ選別するサーバーに接続し、不適切なサイトをブロックする機能のサービス提供を行っております。このアプリを利用していただくことにより、無線LAN環境でもより安全な利用をしていただくことが可能になっています。ただ、注意していただきたいのは、AppleのApp Store、GoogleのGoogle Playといったアプリマーケットにおいては、接続サイトを選別するためのウェブフィルタリング機能は一般的には動作しないということです。アプリの中にはアダルトに近いようなものもありますので、ダウンロードの際によく注意していただくことや、不適切なアプリを選別するためのアプリを利用していただくことが大切になってきます。アプリ選別用アプリを使用すると、不適切なアプリのダウンロード自体は避けることができませんが、アイコンが自分のスマホに表示されても、不適切なアプリの起動を防ぐことができます。例えばソフトバンクとデジタルアーツが2013年2月1日から提供しているスマホ安心サービスでは、ウェブフィルタリングとアプリ選別の両方の安全機能を1つのアプリで動作することができますので、こうしたサービスの利用も検討していただければと思います。また、安心機能の利用やウィルス対策ソフトを利用することによって、ゲームアプリをよそおって個人情報を自動送信するような不適切な動作をするアプリの利用を回避することができる場合があります。
利用料金について注意していただきたいことは、携帯電話事業者からの請求とは別に、アプリの利用料金や、ゲームなどのサービス利用料金が別途発生する場合がある点です。フィーチャーフォンの場合は携帯電話事業者からの一括請求になっていますが、スマホでは別々に料金請求がある場合を知っておいていただきたいです。

こうしたリスクの整理をしますと、①アダルトなどコンテンツそのものが不適切な場合、②SNSなどでの不適切な利用の結果、問題が起こる場合、③課金トラブル、④情報漏えいの4つに問題が分けられます。ネットでの不適切な書き込みによるいじめトラブルや個人情報の漏えいなどは使い方の問題であるため、フィルタリングや安全機能などによって防ぐことはできません。その点を理解した上で、子ども達がよりリスクを上手に学んで行くための手助けとしてフィルタリングなどを利用していただきたいと思います。

今後も青少年インターネット保護法の理念にそって、事業者として安全な利用への取組を促進し、利用者の皆様への啓発活動も進めていきたいと考えております。

西雅彦氏西)私はサイトパトロールとカスタマーサービスの責任者を務めております。弊社のゲームサービスサイトの利用について簡単にご説明いたします。SNSサービスでは、利用登録にあたってアバターというサービス内でのユーザーの分身を作成します。背景や洋服などを選んでカスタマイズ作成することができ、一部有料課金のものもあります。登録後に利用できるゲームは約1900種類あり、ほかにコミュニケーション機能や天気情報サービスなどが利用できます。基本は無料ですが、アイテム課金など有料のサービスが含まれています。サービスの特徴としては、つぶやきやプロフィール情報を書き込んで情報発信したり、他のユーザーと交流が出来たりといったコミュニケーション機能が充実しています。 SNSゲームでは定期的なアクセスを必要とする育成ゲームなどが、特徴的なものとして利用されています。ボタンを押して動物や花に水をあげて育成するのですが、こまめに手入れをすると早く収穫できる点などが人気です。また、自分のサイトを訪問してくれた他の利用者から書き込みなどをもらいながらゲームを楽しめる点も利用者の人気を集めています。長い文章でのやりとりではなく、ちょっとした書き込みで楽しめるライトなコミュニケーションが、ソーシャルゲームの人気ポイントの1つです。

こうした書き込みでは、不適切な利用による個人情報の漏えいや誹謗中傷といったトラブルが発生することもありますので、弊社では書き込み利用の際に注意を促す表示をすることや、サイトパトロールをするなど安全への取組を進めております。1日当たり数千万件にのぼる書き込み全てを目視でチェックすることは難しいのが現状ですが、過去のトラブル事例を参考にしながら、不適切な書き込みにあたると判断されるものを重点的にチェックしております。また、18歳未満のユーザーは3歳以上年齢の離れたユーザーとはミニメールのやりとりが出来ない、あるいは、090、080の電話番号や通信事業者の会社名を含むアドレスと思われるような文字列を入力した場合は送信が出来ないなど、不適切な利用を自動的にシステムでブロックする仕組みを設け、出会い系利用を防ぐ取組を進めております。

最終的には人間が目視で確認することが重要ですので、弊社の場合は新潟と東京に拠点を置いて、400人体制で24時間監視を行っております。またルール違反の書き込みを削除する際には、何が不適切なのか本人にも理解できるよう、削除と同時にどのようなトラブルにつながるのかといった説明も利用者本人に伝える仕組みをとっています。不適切な利用を行ったユーザーを他のユーザーがサイト運営会社に通報する仕組みも設け、通報から所定の時間内にサイトの書き込みを確認し、不適切な場合は削除対応をしています。特定のユーザーからの自分への書き込みを遮断したい場合は、そのユーザーをブラックリスト登録することもでき、他のサイト運営会社でもこうした取組は行われています。保護者の方にもこうした使い方を知っていただき、適切に利用していただければと思います。

こうした取組のほかに安全で適切な利用を周知・啓発していくため、青少年を対象にした教室を開催しております。この教室は弊社、あるいは学校で利用していただくことができ、北九州では玄海高校の生徒さんに弊社オフィスにお越し頂いたことがあります。内容はネットサービス提供会社の案内や、実機を用いた実際の利用のシーンで安全な利用について意見交換してもらうトークセッションなどです。学校の先生方や保護者の方を対象とした無料の講座も行っており、実機を使って子どもの利用の実態にそってお話をしています。実際のトラブルがどのように起こるのかと、防止策を理解する手助けとして活用していただければと思います。

また、弊社が運営するモバゲーサイト内ではご家庭で活用していただける利用時間や利用料金といった利用のルールを紹介しております。大半のユーザーの方は無料でサービスを利用していただいており、弊社としても無料でも楽しんでいただけるサービス提供に今後とも努めて参ります。みんなやっているから課金サービスを利用したいとお子さんが言うことがあるかと思いますが、私も自分の小学生の娘に課金しないで十分楽しめるということを伝えて無料サービスを利用させております。本日参加されている保護者の皆様も、無料でも十分楽しめるってモバゲーの人が言っていたよ、とお子さんに伝えていただけたらと思います。

新たな情報端末への対応について

曽我)さて、安全なネット利用についてお話をうかがってきましたが、会場の皆さんのご家庭でゲーム機にフィルタリングをかけていらっしゃる方はどのくらいでしょうか?少しいらっしゃいますね。保護者が安全なスマホ・ネット利用の取組を進める一方で忘れがちな点は、スマホ以外にもゲーム機や音楽端末、テレビなどネットにつながる端末は家庭の中にたくさんあるということです。こうした盲点に気づかないとお子さんはそうした端末で制限されないネット接続を行ってしまうかもしれません。ゲーム機などはスマホと比べてフィルタリングをかける手間がかかるため、つい後回しになりがちですが、この点についていかがでしょうか?

桑崎)学校現場でも子どもが巻き込まれるトラブルへの関心が低いご家庭への対応が難しいと感じています。また、とりわけ問題を共有していただきたいと学校現場が考えるご家庭に、そのようなご家庭が多いことも事実です。関東地方のある県では入学式や卒業式とPTA行事をセットで行い、参加を高める取組が行われたこともあると聞いたことがあります。医療現場や幼児教育の現場からは、保護者がネット利用に夢中になるあまり、育児に支障をきたしているという指摘がよく聞かれるようになりました。無関心な保護者のお子さんがトラブルを起こすという負の連鎖を断ち切る取組が必要だと思います。

関心が低い保護者への対応について

質問者1)ネットの危険性については保護者の意識を高める取組を進めていますが、取組自体に関心を持っていただけない家庭への対応についてどのように考えたらよいのでしょうか。また、不適切なネット利用については、接続した利用者の側を罰するといった取り締まりを法的に行うことは難しいのでしょうか。

桑崎)学校現場でも子どもが巻き込まれるトラブルへの関心を持たないご家庭への対応が難しいと感じています。また、とりわけ問題を共有していただきたいと学校現場が考えるご家庭のなかに、関心が低いご家庭が多いことも事実です。関東地方のある県では入学式や卒業式とPTA行事をセットで行い、参加を高める取組が行われたこともあると聞いたことがあります。医療現場や子育ての現場からは、保護者がネット利用に夢中になるあまり、育児に支障をきたしているという指摘がよく聞かれるようになりました。無関心な保護者のお子さんがトラブルを起こすという負の連鎖を断ち切る取組が必要だと思います。

曽我邦彦氏曽我)私達が何か行動を起こす背景には、それによって利点がある、得をすると実感できる何かがあるからではないかと思います。今日、参加している保護者の皆さんが有益な情報を上手に子育てに活かし、子育てで得をしていただくことにより、今度の活動の輪が広がるのかもしれません。ネットをよりよく利用する情報収集の利点を上手に発信するにはどうしたらよいのでしょうか。

桑崎)今の大学生の就職活動をみておりますと、適切なネットの情報が活動の成否に影響するという実態があります。また逆に、応募者のSNSサイトの利用実態が企業の採用担当者に把握されることによって、不適切な利用がみられた場合は採用されないといった事例も増加しています。保護者の関心が低いとお子さんの就職にも問題が生じるのです。アメリカでは子どもの安全に対する保護者の意識が大変高いわけですが、その背景には誘拐事件が1日当たり100件も発生するなど、親の関心が低いと子どもの生命が危ういという社会の実情があります。日本でも今以上に保護者の関心を高めていく必要があると思います。

山田)個人的には法規制で利用を禁止するのではなく、よりよい使い方を学ぶ方向から問題解決にあたっていければよいと思います。

川又)規制した方がよい部分は規制で対応してもよいかもしれませんが、トラブルの種類にもよるのではないでしょうか。子どもが被害者であると同時に加害者にもなるような事例では、子どもが善悪を判断できるように育てていくことが大切だと思います。

質問者3)小学生の保護者ですが、家庭や子育ての場での価値観も変化していると感じる気もします。ネット利用については、今までは子どもに過度な利用を促すようなSNS各社のCMなどビジネス展開を適切でないと感じたこともありました。ただ、適切な利用をコントロールできないのは親の子育ての責任であり、企業を攻撃しても子どもを甘やかせているに過ぎないと感じる部分もあります。先ほどからあったようにPTA活動にすべての保護者を参加させることは現実的に難しいと思いますが、子どもは学校に毎日通っているわけですから、学校のカリキュラムとは別に保護者が子どもにネット利用の正しい使い方を教えていく機会を持つことが必要だと思います。

桑崎)保護者への広報ですが、学校からのプリント連絡にしても全ての保護者に届けることは難しい現状があります。子育ての価値観については、一昔前は授業では必ず鉛筆でシャーペンを使うのはダメという合意がありましたが、今では普通に高機能なシャーペンを多くの子が使っています。もしかするとケータイの学校での利用に対する考えも急速に変化するかもしれません。

子ども達を有害なものから守る取り組みについて

曽我)犯罪者への取り締まりのためには法制度の整備が必要ですが、青少年を有害なものから守るには規制よりも育成の視点が重要ですね。ディー・エヌ・エーでは自主的な監視の取組を業界でもっとも速く始められましたね。

西)監視については通信の秘密保持の義務がありますので、ルールに則り対応してきました。こうした取組の成果も目に見えてあがっており、先日公表された警察庁のまとめでは、弊社の会員数当たりトラブル事例の割合は最も低い水準になっております。

質問者2)子どもを大人が守るという視点に加えて、子どもが自分で守る能力を高めていくことが大切だと感じています。大人自身が携帯端末を与える時に危険性などを熟知して買っていないことが多いと思います。ケータイモラルを測定できる認定試験などを作り、及第したレベルによって子どもへのケータイ購入を許可するような仕組みが必要だと思うのですが。

桑崎)携帯の免許制については、ケータイが普及し始めた当初に同様の議論があったと思います。年齢に応じて段階的なフィルタリングをかけ、18歳までに徐々に解除するといったものです。利用している高校生からフィルタリングをはずしたくないという声を聞いたこともありますが、私としては仕組みにたよらず利用の仕方を学んでもらうことが大切だと思います。情報端末の利用については、小学校では総合的な学習の時間、中学校では技術家庭、高校では情報科の時間を利用して学んでもらう機会がありますが、学習指導要領の改定が10年に1回であることから、用いるテキストにスマホやSNSの文言はなくアップデートが追いついていない現状があります。
一方で保護者の方にお伝えしたいのは、安全なネット利用のためにお子さんに必要なのは個別の知識だけではないということです。昨日、私の勤める中学で救急車を要請するケガが発生しました。雨天で校内の結露がひどかったため、校内放送で安全を呼びかけた直後に、中学3年生の生徒が友達を押して、廊下で転倒したのです。知識だけを伝えても聞いている側の規範意識が低い場合は届きません。ネット利用に限らず、交通安全などでも同様です。個別の知識や事例を知らなくても、普段から規範意識が高く生活ルールを守る態度が身についている子どもは安全な場合が多いことをお伝えしたいです。

曽我)本日は会場に茨城県メディア教育指導員連絡会会長の堤さんがいらしています。茨城県での取組などもお聞きしたいと思います。

堤)茨城県メディア教育指導員連絡会の堤です。茨城県でもケータイの免許制の議論をしましたが、免許制のような仕組みを整えるだけでは問題は解決しないという結論に至りました。ネット利用のトラブルなどに関心をもっていただけないご家庭に情報を届けることも含めて、子ども達に善悪の判断が出来るよう育成していく活動を保護者が進めることが重要なのです。PTA活動に無関心な保護者が参加しない理由は、PTA活動に関わる保護者にしかわかりません。よりニーズに応える活動を行うことが大切ですし、子ども達は現にネット利用をしているのですから、新しい仕組みを求めるよりも保護者が率先して動くことが大切だと感じます。


山田)弊社を含め事業者各社は、青少年向けのスマホサービスや機能を絞った端末の提供を進めております。保護者の方の意見を反映してサービス改善に努めていきたいと考えております。

それぞれの立場からの今後の取り組みについて

川又)子ども自身が危険に遭遇した時に変だと自分で感じられるよう、安全への感覚がするどい子どもを育成することが大切だと思います。文部科学省では高校生に自分たちの問題を議論してもらう熟議という取組を行っていますが、高校生自身も過度なスマホ利用をするユーザーを問題視しています。ヘビースモーカーになぞらえて、依存的な利用者をヘビースマーカーと呼称して自分たちの問題としてとらえています。自分の安全感覚を養っていける子どもを育てていくことが大切だと感じています。

山田)サービスの改善を今後も進めるとともに、子どもたち自身が自分の利用を客観的に判断できるような指標を作り、利用レベルやモラルの可視化などが出来るような取組ができればよいと思いますし、そうした場に積極的に参加していきたいと思います。

西)ネットサービス業界として、より良い安全な利用のために仕組みを改善できる部分はまだ残されていると思います。また、サービス利用を楽しんでいる子ども達の中には、ゲームデザイナーやグラフィックデザイナーを将来の夢にしているお子さんがいます。彼らが将来の職業選択をする際に、ネットサービス業界が選ばれるような産業に成熟していけるよう、努力していきたいと考えております。保護者の皆様とも連携して取組を進めていきたいと思います。

桑崎)今から会場の皆さんにお見せする写真は、ある企業グループの社内月刊誌に掲載されたものです。昭和30年代の食事時間、家族団らんの場の一コマで、たわいのない家族の会話が続けられているのですが、この写真に「みんなが集まる食卓はずっと昔からソーシャルネットワークでした」というコピーがつけられています。スマホばかり見ないで、家族の顔をみて生活しませんかという提案がされています。どのようにお感じになるでしょうか?昭和初期にもどることは出来ませんし、鍋を囲んでの食卓も今の時代は難しいかもしれませんが、家庭でのコミュニケーションのとり方、家族の在り方などを改めて考えていただくきっかけにしていただければと思います。

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