ケータイ小説家・サトインタビュー1
彼女たちは、ひたむきに自分たちの気持ちや心にあることを、物語を通じて表現しています。きっとケータイがインターネットにつながっていなかったら、この心の表現を同世代の若い人たちと共感しあうということはなかったと思います。彼女たちのとても素直で自然な語りをぜひ聞いてみてください。
作家プロフィール:サト
2008年6月『ご主人様と私』(アスキー・メディアワークス刊)でデビュー。爽やかなタッチで描く等身大のラブストーリーが人気。
■ケータイは、いつからもっていてどのように使っていますか?
- いつごろからケータイを持ち始めました?
サト:家が高校からじゃない(携帯電話を持つことが)とダメだったので、高校一年からです。
- 今はおいくつですか?
サト:今は二十歳です。
- じゃあ携帯電話を持ち始めて5年くらいですね?
サト:そうですね。
- 周りの友達は中学から携帯電話を持っている人も多かったですか?
サト:中学からの人もいるし、高校入ってから持っていない人は2、3人でした。
- 中学のときから小説を書いていたんですよね?最初はノートに書いていたんですか?
サト:いや、書いてはいなくて、頭の中で考えていました。
- 読むのは?
サト:読むのは全然。読書感想文に書く時ぐらいしか(本を)読んだことがないです。
- 映画とかテレビ、マンガは好きですか?
サト:映画がすごく好きです。テレビはあんまり見ないんですけど、マンガは小学校低学年ぐらいから読んでました。最初はギャグマンガばっかりで、だんだん少女マンガに。
- ケータイはどんな風に使っていました
サト:普通に。
- どんなふうに普通に使っていたの?
サト:友達とメールしたりとかですね。
- インターネットは利用していました?
サト:そうですね。いや、でも絵文字とかダウンロードするためにサイトに飛んでみたりとか、そんなぐらいですね。
- じゃあ、主にメールとか電話で使っていてインターネットは、あんまりという感じですか?
サト:そうですね。
- それが何故突然、ケータイ小説*を書くことになったのかしら?
サト:(ケータイ小説の)存在を知らなくて、友達が教えてくれて、こんなのがあるんだよって。もともと(小説を)書きたかったんですけど、それまで使っていたパソコンよりケータイの方が身近に持っていたので。
(*携帯電話を使用し、執筆、閲覧される小説のこと。携帯電話という画面上で閲覧するコンテンツであり、会話形式をとった小説が多く、またスペースも表現方法の一部として用いられ、書籍上の小説とは形態が異なる。単純に携帯電話を経由した電子書籍とケータイ小説とは区別される。筆者、読者の中心は、いずれも女子中高生や主婦、OLである。また、ケータイ小説サイトでは、小説を書くサービスだけでなく、掲示板など読者からのコメントを受け付けるサービスを同時に提供しているサイトが多く、筆者が読者の意見を聞きダイレクトに小説の内容に反映させ、読者と共にケータイ小説を執筆していくことも可能である。多くのケータイ小説が集まるポータルサイトとして、鎌田が属する株式会社魔法のiらんどが運営する『魔法の図書館』ほか、スターツ出版株式会社運営の『野いちご』などがある。)
- パソコンはいつごろから使い始めましたか?
サト:小学校の5年か6年から。
- じゃあケータイ使うよりもパソコンの方が先?
サト:そうですね。
- インターネットはもともとパソコンから利用していたんですか?
サト:パソコンのときは(書いた小説を)フロッピーディスクに保存していて。(今、ホームぺージにある作品は)パソコンで書いていたものとは内容が全然違うんですけど。
●現在の中学生から高校生の子どもたちにとって、初めての自分のインターネット専用端末はパソコンではなく"ケータイ"です。パソコンは家庭にはありますが、自分専用のパソコンを持っている子はまだ少なく、ケータイを持った時に初めて自分専用のインターネット接続機なのです。
しかし、保護者の方は、インターネットはパソコン、ケータイは電話とメールと認識し、ケータイがパソコンと同じようにインターネット環境に接続可能であることを把握できないままケータイを与えていることが多いのです。
- ケータイで書くときは最初に考えてから打って(打ち込む=文字を入力する)いるの?
サト:考えて打つ時と、すごく頭の回転の調子が良い時は考えながら打っていくみたいな。それで最後に確認して載せています。
- 書きながら考える?
サト:基本的に書きながらだったんですけど、最近、忘れちゃうんで、おおまかな内容をノートに書いています。それを見て、打っているうちに考えながら。
- ストーリーが出来るまでどのぐらいかかりますか?
サト:半年ちょっとです。
- 一日どのぐらい書くの?
サト:書けないときもあれば、6~7ページ書くときもありました。
- 学校から帰ってきて書いていたの?
サト:やることをやって、寝る前とかにゴロゴロしながら書いていました。
- いつごろから書き始めました?
サト:高校の2年の終わりくらいですね。
-『恋空』* が流行っていた時期ですか?
サト:そうですね。友達が最初、『恋空』か『teddy bear』* が良いからって教えてもらって。
(*こいぞら。原題は『恋空~切ナイ恋物語~』。著者:美嘉(みか)。2007年に映画化、2008年にはTVドラマ化された人気ケータイ小説)
(*テディベア。著者:べあ姫。『恋空』と並ぶ人気ケータイ小説作品)
- それは読んだ?
サト:読まなかった(笑)。小説が読めなくて。読むより書いているほうが好きなんで。
- ほかのケータイ小説は全然読まない?
サト:読まないです(笑)。
- その頃、まわりのみんなはケータイ小説を知っていました?
サト:知っている子は知っているんですけど。知らない子は知らないという感じで。
- どんな子がケータイ小説を知っていました?
サト:活発な子が多かったですね。ホームページ(以下、HP)とか立ち上げたりするのも。
- みんなケータイからインターネットを利用するの?
サト:そうですね。パソコンを持ってない子が多いので。あと、授業で、パソコンでHPの作り方を習ったんですけど、あまりにもごちゃごちゃして難しい感じなので。こういうケータイのサイトだと作り方から載っているし。
- 今の学校の友達はどんな感じで使っています?
サト:学生はサイト、HPをつくる子が多いです。歳をとるにつれて、写真を載せるのが面倒くさくなって、ブログに移る子とかが多いですね。
- 女の子だとケータイではHPが一般的だと思うけどブログも書いているの?
サト:ケータイのHPはリンクがあるから楽しかったりするんですよ。大人になるとHPをやる人が少なくなって。だんだん知らない人に知ってほしくなくなるし。今は知っている人だけにブログを公開しています。
- SNS*(ソーシャル・ネットワーク・サービス)は? たとえば、mixi(ミクシィ)とか。
サト:mixiはみんなやっています。でもmixiだけをやっている人と、それ以外にもやっている人が半々ぐらい。
(*リアルでの知人同士のネットワークをインターネット上でつなげたコミュニティサービス。当初は紹介制のクローズな環境が多かったものの、最近はオープン化が進んでいる)
- 友達とはインターネット、メールでつながっている感じ? 地元の子とのやりとりは?
サト:メールはあんまりしないです。年末とか帰る時期になると「いつ頃、帰るの?」みたいなことはやりますけど。ブログで帰る時期とかを書いて連絡もらう感じ。
- こっち(専門学校)のお友達は?
サト:個人的なブログを教えてないです。mixiとかはみんなやっているから教えていますけど、個人的なブログは地元の友達にだけ教えています。
- ブログとかSNSを使い分けている時は、何人もの自分がいる感じ?
サト:そういう訳ではないですね。地元だと方言出しまくって、思っていることも書けるけど、mixiは学校の友達もいるんで。
- オフィシャルとプライベートを使い分ける感じかな?
サト:そうですね。
- ブログはクローズですか?
サト:クローズではないんですけど、友達だけに教えて、周りには探されないようにもしています。
- 一日どのぐらいメールしたりインターネット見たりしますか?
サト:自分からメールすることはあんまりないんで、向こうから届かないとメールしないし、メールもらえばずっとしているし。電話はあまりかかってこない。メールが届くことはありますけど。
- ところで、パソコンでメールします?
サト:必要最低限のときしかしないですね。
- サトさんはケータイを使っている方だと思いますか?
サト:使っていない人から見ると使っていますけど、ニコ動*とかにはまっている人から見るとそれほどではないと思います。
(*株式会社ニワンゴが提供している動画共有サービス。非同期でのコミュニケーションが可能で人気を集めている。)
- 動画にはまっている子は多い?
サト:外見はオタクじゃないけど、中身がオタクの子はこっそり見ているみたいですよ(笑)。
- 動画を作ったりとかは?
サト:全然しないです。
●「ケータイ小説作家でも、インターネットの世界に没入することなく適度な距離をもってネットに接していることがよくわかります。 大人の感覚では、ホームページを立ち上げ、小説を書き、コミュニティを創り、運営していくことはかなりハードルが高い感じがしますが、若い皆さんにとってはとても自然なアクションなのではないでしょうか。」
次号に続く
(鎌田真樹子 株式会社魔法のiらんど 安心安全インターネット向上推進室 室長)

