■課題が残る保護者へのアプローチ
-県の条例改正ですが、PTAはこれに対してどのようなスタンスなのでしょう?
坂井:PTAとして理事会や委員会で結論を出したわけではないですが、最終的判断をするのは親というのが前提とするならば、考える場や意見交換する場の提供等が大事であろうと思うんですね。キャリアからはツールや啓発のための資料を提供されていますが、関心のある人は見るし、関心のない人は見ないわけです。問題のない層、問題のある層があり、どんな条例を出そうとやぶる人はいます。そのどちらでもない中間層に対して、条例は考えさせる機会を与え、少し踏みとどまってみよう等のきっかけ作りに対して大きな影響があると思うんですね。すべてを解決するような絶対策を講じるのは難しいですが、どっちにも行く中間層を問題のない層へもっていく役割を、PTAは果たしていければと思っています。
-親のリテラシーですね。親自身も勉強する必要がありますが、そのツールはどこが提供するべきなのでしょうか?
坂井:キャリアからのものも必要だと思いますが、それだけでは無理ですね。キャリアの人に怒られてしまうかもしれませんが、キャリアが自分のサービス、機能を熟知していないんです。機能について質問しても、ぱっぱっと答えられないんです。継続的にキャリアとに対するユーザーの信頼がないといけない。こうなっているから安心なんだということを、末端まで分かっていないのに販売するのでは、まだまだだと思います。もちろん親も勉強していかなければいけないですけど、親の啓発のための努力を、キャリアがする必要があるんですよ。またそれに加えて、身近にいる親同士のコミュニケーションの場として、PTAが提案やお手伝いをするべきだと考えています。
-PTAが親に働きかけるというのは、一番期待されているところですよね。
坂井:携帯電話に関しては、金沢、野々市、加賀、能登と地域によって温度差があり、全県的に上からおろしていくのはPTAとしても難しいんです。最終的には判断するのは親ですが、だれかが説明し、利便性と危険意識を持たせる努力ををしなければならない。
フィルタリングに関しては、販売店、キャリアさんが実際の窓口で努力をしてもらいたいですね。公に認めてもらうようなツールや説明書は作っておられますけど、作っただけで終わっていますし、まるで保険の規約のように読まないものになっています。
またキッズケータイに関しても、爆発的に売れているほどではない。そういうモデルを作ったからと言っても、責任を果たしたことにはならないでしょう。継続的に携帯電話を持たすのであれば、親の注意を常に喚起する仕掛けなどが今後、必要になってくるでしょうね。
坂井:それは全国どこのPTAとしても永遠のテーマでしょうね。県のPTA連合会は市のPTAの代表が集まっていまして、上からものをいう立場の組織構成ではないんですね。各学校のPTA会長がポリシーを持って個々に活動し動かすというのが最終的な形ですし、PTAの原点なんです。県のPTA連合会が個々の会員の意識の向上をすれば良いのですが、上からではなく下からの動きの方が良いですね。それに対して県PTAの具体策は、今の段階では正直、難しいですね。
-その場合、条例はツールとして有効なんでしょうか?
坂井:なり得る可能性はあると思いますよ。最終的には子どもと親、親から地域へと。一人でもそう思う親がいれば、学校だけではなく地域全体に広がっていきます。私は能美市のPTA連合会の会長ですが、PTA以外の他の団体で講演する機会があり、子どもの携帯に関しても「おじいちゃんやおばあちゃんが買い与えている携帯電話について考えてみましょう。」と敬老会等で問題を投げかけたり、意識を持ってもらおうとしているんですよ。いかに末端まで広げていくかがキーになると思います。
この号終了
(一般社団法人インターネットユーザー協会 代表理事 小寺信良)

