携帯不所持運動を成功させた野々市町は、立地条件といい地域性といい、かなり特殊な地域である。運動の実態や成果については、本当にメディアに伝えられているような実態なのだろうか。我々は実際に野々市町に住む保護者の方にお話を伺うべく準備を進めていたが、不思議なことに取材スタッフが手配した保護者の方が3名とも、前日になって突然取材キャンセルという連絡が入った。
筆者がTwitterで野々市町在住の保護者の方を募集したところ、幸いなことに1名の方がインタビューに答えてくださるという。野々市町役場の一室をお借りして、野々市町で展開する携帯不所持運動の実態と地域事情などについて、お話を伺うことができた。

 仮にお名前をK氏としておこう。金沢市を中心にIT関連の仕事をされており、野々市町に住んで20年近くになるという。大学生、高校生、中学生の3人のお子さんをお持ちで、全員野々市町で育っている。6年前に始まった小中学生への携帯不所持運動の影響を受けたのは、現在高校生のお子さんから、ということになる。

■野々市町の生活環境

- 高校生のお子さんは金沢市内の高校に通われているそうですが。

K氏:長男も同じ高校なんですけど、次男も進学のことも考えて金沢市内の高校を希望しました。中学校を卒業して野々市町の高校(明倫高校)に行く人も多いんですけど、ランク的というと、中ぐらいになる感じですね。

- お子さんは電車で高校まで通ってらっしゃるんですか?

K氏:自転車ですね。公共の交通機関を使うと、一旦金沢まで出てまた戻らないといけなくなりますし。雨が降っていれば、私が一緒に車に乗っけていくこともありますね、私も仕事がそっち方面が多いので。帰りは遅いので、迎えに行ったりします。

- そうするとやはり、送り迎えの連絡なんかでは、携帯が必要になりますよね。

K氏:子どもが高校生ぐらいになると行動範囲も広いので、携帯電話がないと困りますね。中学生の間で携帯が必要ないのは、生活圏が野々市だけで完結してしまうということがありますね。

- 高校生になったら自動的に携帯を、といった感じなんですかね。

K氏:どうしても必要になってくるので、親の側から「携帯を」と言いましたし、それが地域では暗黙の了解のようにはなってますね。やっぱり公共交通機関というのがあまり利用できないし、部活などで遅くなったりするんで、迎えにいったりするために必要がありますし。

- 野々市町の主な交通手段は車ですか?

K氏 車がないとやっていけないですね。うちも仕方がなく、二台ありますし。通勤も車です。駅周辺の方とかは、金沢市内に電車に通う人もいます。学生も多いですし、朝はそれなりに電車も混みます。

-野々市町の子ども達が遊びに行く時、どこに遊びに行くんですか? 町内に繁華街のようなところはありますか?

K氏:繁華街と言えるようなところは特にないですね。御経塚(おきょうづか)というところに大きなショッピングセンターが一つありますけど、後は町役場近辺に店舗が増えてきてます。元々の役場があった本町には、ほとんどお店はなくなってきてます。子ども達がたまるような所と言えば、すぐ近くが金沢市なので、そこまで行けばいろいろあるでしょう。ただゲームセンターなどには、小中学生は出入り禁止ということになっています。うちの子どもたちですと、友達同士の家に行ったり来たりとかですかね。中には、金沢の方へ遊びにいく子もいるかもしれませんが。

- 野々市町は金沢市に隣接した住宅地のようですが、転校、転入する生徒は多いんですか?

K氏:転校はそれほど多くはないようですね。もしかしたら野々市町に越してくる人は、子どもが小さい方が多いんじゃないんですかね。結婚して間もなく、アパートに入る方が多いみたいですね。私が越してきた20年ほど前から、バタバタと住宅地とか商業施設が建ってきました。家の周りも、昔は田んぼだったのがアパートとかになってますね。

 以下次号に続く

(一般社団法人インターネットユーザー協会 代表理事 小寺信良)