サトさんよりもさらに若い10代のケータイ小説作家・ココアさんとの対談は、まるでケータイ小説の文章のように歯切れよく、リズミカルで、簡潔なセンテンスが飛び交う会話となりました。
 若い人たちのメールのやり取りのようなインタビューで、少し読みにくいかもしれませんが、リアルな彼女たちの感覚をそのままお伝えしたいと思います。
 PCやケータイの利用の仕方など、若い方々がどのようにインターネットと関わって生活しているのかこの会話から浮きあがってくるのではないでしょうか。

作家プロフィール:ココア
ケータイ小説コンテスト「iらんど大賞2007 ケータイ小説アワード」にて『COOL†boy(クールボーイ)』が文庫最優秀賞を受賞。同年書籍化デビュー(アスキー・メディアワークス刊)。


■小説との出会いは“検索”

―いつ頃からケータイ小説を書き始めましたか?

ココア:中学生の時、12歳頃からやっていました。ペンネームは違いましたけど。

―デビュー作は『COOL†boy』。

ココア:そうですね。

―何故ケータイ小説を書き始めたんですか?

ココア:初めに読んだのが『被害妄想彼氏』* で。すごい面白くってそれで。

―あれ、面白かったね(笑)。

ココア:面白かったですね(笑)。
(*ひがいもうそうかれし。著者:アポロ。コメディタッチで描かれたケータイ小説)

―ケータイで読んだの?

ココア:ケータイで読みました。

―ケータイを持ち始めたのは?

ココア:小学校5、6年生の頃。

―小学生というと、ケータイの契約者はお母さんですか?

ココア:お母さんです。

―そうするといわゆるキッズケータイではなく大人用ケータイですよね?

ココア:はい

―すぐ、インターネットに接続して使うようになりました?

ココア:はい。

―もともとPCは使っていました?

ココア:PCは使っていなかったです。

―インターネットは好きですか?

ココア:ひまつぶしには、なります(笑)。

―では、インターネットの利用はケータイの方が先ですね

ココア:ケータイのほうが先です。

―でも学校では授業でPCを使うこともありますよね。

ココア:やっています。

―魔法のiらんどはどうして知りました?

ココア:さっき話した『被害妄想彼氏』で知って。小説のあるHPを見たら、そこに魔法のiらんどのケータイ小説コンクールへのリンクがあったので、そこをクリックして知りました。

―『被害妄想彼氏』はどうやって知ったの?

ココア:読んだきっかけは「被害妄想」の意味をインターネットで調べようとしたら、この小説が一番上に出てきたんです。被害妄想の長い説明なのかなと思って読んでいたら、小説で(笑)。

―検索したの?

ココア:ケータイのYahoo!で調べました。被害妄想って何かなと思って。それで読み始めました。

―ケータイ小説のことは、その時は知らなかったの?

ココア:はい。

―小説を書くようになったのはどういうきっかけですか?

ココア:親に聞くと、元々小さい頃はマンガを書いていたらしいんです。話を作るのが好きなのか、自分オリジナルのストーリーを作っていて。

―ケータイ小説の書き方やwebへのアップの方法は、他の作品を読みながら使い方を学んでいったのでしょうか?

ココア:それが、そもそも読者が読めるということ知らずに書き始めました。HPも公開されているとは知らず、見られるのは自分だけかなと思っていて、自己満足で作っていた感じですね。

―最初からHPを作っていたの?

ココア:最初は、本棚(*書いたケータイ小説を一覧で見られるwebページ)だけです。

―初めてケータイでHPをつくった時、難しくなかった?

ココア:適当にやったら出来ました(笑)。

―書き始めたのはいつごろですか?

ココア:2004、2005年ごろ。最初のペンネームはココアじゃなかったんです。その頃、書いていたのは学園モノです。ペンネームをココアにしたのは2006年。『COOL†boy』を書いたのも同じ2006年です。

―小説を書きあげるのに、どのくらいかかりましたか?

ココア:全部書き上げるのには3ヶ月。

―書いている時は面白かった?

ココア:書いている時は楽しかった。

―全部、ケータイから書いているのですね。

ココア:全部ケータイからです。

―普段、本は読みますか?

ココア:あまり読まないですね。『親指さがし』(*ホラー小説。著者:山田悠介。2006年映画化)とかそれぐらい。

―学校では、作文が得意だったとか?

ココア:まったく(笑)。作文はまた(ケータイ小説と)違う。

―どんなマンガが好きですか?

ココア:基本、学園モノですね。

―学園モノが好きなんですね。

ココア:そうですね。身近だからじゃないですか。

―自分の経験は小説の中に入っていたりします?

ココア:ちょっと入っています。

―ココアさんの作品は実話系ではなくて、理想の男の子と主人公の女の子が恋に落ちる、いわゆる“妄想系”と呼ばれるストーリーですよね。

ココア:はい。そっちの方がぶっとんだことが書けて面白いかなって。

―恋愛に関しては?

ココア:恋愛は、すべて空想です(笑)。

―自分の心の中に居る好きなタイプの男性を描いているの?

ココア:いえ。ほとんど正反対な嫌いなタイプを書いている。

―他の作家さんの作品を読むことはありますか?

ココア:他の作家さんの作品はほとんど参考にしません。

―自分の作品がマンガ化や映像化されることは想像しますか?

ココア:うーん、映像化はあまりないような気がする。自分の中でキャラクターのイメージを映像的にはあんまりよくつかんでいないので・・・。見ればいいかなって思うかもしれませんけど、もしキャラクターのイメージが実際映像化した時に外れてしまうかもと思うと、どうしようかなって思います。

■ケータイ小説家になってから

―ココアさんにとってケータイはどのようなものですか?

ココア:便利。

―何をするのに便利?

ココア:わからないことを検索したり。あと、メールですね。

―友達とメールのやり取りはけっこうしますか?

ココア:やりますね。

―HPとか掲示板でコミュニケーションをしないの?

ココア:特定されるのが嫌だから書き込まないですね。

―友達同士で掲示板や日記を共有したりしないの?

ココア:友達同士では、やりませんね

―お友達はココアさんがケータイ小説家だと知っていますか?

ココア:いやぁ、知らない。

―どうして教えないの?

ココア:自分の妄想が、ばれたくない(笑)。

―ばれると困る

ココア:ばれたら困ります(笑)。

―ケータイ小説を書いていて、良いことや楽しかったことはありますか?

ココア:読者の人が感想をくれたりすることですね。

―コメントは私書箱(*メールアドレスを公表せずにメッセージを送れる魔法のiらんどの独自機能)に届くのですか?

ココア:そうですね。

―コメントから勇気づけられたことは?

ココア:はい。もう一回、小説の更新をやろうと思える力になる。バッシングとかも逆に参考になります。

―印象に残ったコメントはどのようなものですか?

ココア:うれしかったなって思うのは『COOL†boy』を書いていて、そのストーリーと同じように学校の生徒会長に恋している人から、「がんばります」って言われて。「じゃあがんばって」みたいな返事をしたり。バッシングのコメントで説明文が短いとか、何やっているか分からないって言われた時は、後々自分でも注意するようになりましたね。

―バッシングのコメントをもらうと、どんな気持ちですか?

ココア:いやぁ、当たっている、ばれちゃったと思いました。

―魔法のiらんどでのケータイ小説アワードでは、文庫最優秀賞を受賞したんですよね。そのときはどんな気持ちでした? 

ココア:一瞬、詐欺だと思った(笑)。アワードの事務局から受賞おめでとうございます、書籍化候補になりましたってお知らせが来たときも、嘘だと思って一回無視していましたね。
でも何度か同じお知らせが来て、「これやばい、本当だ」って思いました。ケータイ小説を書いていることは親には話していなかったので、一晩考えてからお母さんに言って。それで「確認してみたら」と言われて事務局に返信したんです。

―その時、お母さんはどんな感じでした?

ココア:はじめ「嘘ついてるでしょ」って言われました。なので、受賞した小説のサイトを見せて、そこのブログに母親との会話をそのまま載せて、それを見せたらやっと納得してくれました。

―お母様はケータイ小説のことは理解していましたか?

ココア:あの時は分かってなかったと思います。「遊びでやってなさい」とかも言われましたね。

―自分の書いたものが本になるってどんな気持ちでした?

ココア:実感は湧かなかったです。本になった後に読んで初めて「自分の作品じゃん!」みたいな。本屋行ったら、本当にあるんだという不思議な感じでしたね。

●ココアさんが初めてケータイ小説に出会った時のお話は、大変衝撃的に感じました。子どもたちがインターネットという広い海の中から何かに出会っていくプロセスは、ココアさんの場合のように思いもよらないきっかけからなのです。
 インターネットにはどんな可能性もあるということなのですが、反面、危険もあるということですね。また、小学生からケータイ小説を書いているココアさんは、自然とインターネットの双方向性を理解して活用しているということが良くわかります。

次号に続く
(鎌田真樹子 株式会社魔法のiらんど 安心安全インターネット向上推進室 室長)