■(4)日本経済を考えたときに

茂木: また、インターネットからは新しい文化が生まれていますよね。僕はこうした動きを促進させることは、日本経済の活性化のきっかけになると思います。

たとえば、10代の子たちに流行っているケータイ小説。内容を批判する人もいますがそれで活字のマーケットが広がるわけですよね。従来型の小説のマーケットもあれば、ケータイ小説やブログ本のような新しいマーケットもある。現代社会のキーワードは“多様性”だと思うんです。

しかし、メディアや産業が新しく生まれ変わるときには「規制」や「批判」という動きがどうしても出てきてしまう。
たとえば、日本で鉄道を敷設する際も蒸気機関車の側に寄ると病気になるとか、黒い煙で農作物がダメになるなどのデマが飛び交った歴史があります。新しいものに対するアンチテーゼって人間の心理に常にあるものなんです。

50年代、テレビが普及し始めた時代も「一億総白痴化」という言葉が流行しました。でも、テレビというメディアが悪いんじゃない。問題はテレビをどう使うか、でしょう?

日本経済を考えると、真剣に何とかしなくてはいけない時期に来ています。国民が、識者が、政治家が総出で日本経済を活性化させるためにどうするかを真摯に考えなくてはいけない。特にインターネット上のレギュレーションをどうやっていくかという問題は、経済成長に大きな影響を及ぼすのではないでしょうか。

しかし今、インターネットに関わる規制や条例の中には日本の経済成長を明らかに阻害するような案件もある。今、すべきは「抑止」ではなく「活性化」です。今、かけた規制が10年後、20年後の子どもたちや日本の国力にどう影響するのか。これは、行政側のみならず保護者の方々にもじっくりと考えていただきたい問題だと思います。

先ほどの話に戻ると、ケータイ小説を批判する人たちは、それが出ることで今までの小説が消えてしまうのではないかと勘違いをしているかもしれません。
しかし、インターネット環境が整っていく世界では、価値観にもロングテール現象が起こっています。ケータイ小説を読む層、日本の古典を読む層、Project Gutenberg※で英語の古典を読んでいる層、すべてが認められる時代なのです。

フラットな視点から多様な価値を認めることも、これからの日本人には必要だと思います。

(※プロジェクト・グーテンベルグ=著作権の切れた作品を全文電子化してネット上で公開するという計画)

(次号へ続く)

(鎌田真樹子 株式会社魔法のiらんど 安心安全インターネット向上推進室 室長)