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コミュニティサイトのあるべき姿 粉川一郎氏インタビュー4

2011年1月18日
武蔵大学社会学部メディア社会学科の粉川一郎准教授のインタビュー4です。

■ボランティアの精神 ~スペシャリスト養成~

- 社会のありかたや生き方の違いというか、たとえばアメリカはボランタリーな世界が前提にあって、企業がどんなにお金儲けをしても、かならず社会貢献するというような文化がありますが、それが日本に育っていないのでしょうか?

どっちかというとそっちの話のほうが私の専門です(笑)。

ただ、今のお話に関しては若干の異論があるんです。現実問題として、アメリカと日本は違うんですね。ボランティアの行動率なんかも、大きな差が出てくる。寄付額などは1世帯あたり30倍違います。その違いはどこにあるんだと分析すると、文化的背景であったり、開拓者精神であったり、宗教的なバックボーンとかよく言われるんですけれど、アメリカで何回か調査して、突き詰めて聞いていくと、非常に単純な話で、アメリカ人は「頼む」ことに躊躇しないんですよね。お願いをきっちりするんですよ。同じことを日本のNPOでも聞いてみると、寄付を募るためのチラシ、箱を作っても、寄付のお願いを人に直接言えない日本人ということが見えてきます。

ボランティアもそうです。「来週、ここでこういう事をやりますから手伝ってくれませんか?」と言えない。ここが一番明確な違いなんです。そういう風に考えると、人は頼まれればやるんです。ボランティアをしてみたいと思いますか、という世論調査では日本でもアメリカと遜色のない6,7割の数字が出てくる。やらないという理由の上位に挙がってくるのは「参加したいと思っているが機会がない」などです。要は、誰もお願いしてくれないから、機会がないということなんですよね。逆に、その一歩さえあれば、日本でも社会が変わっていく可能性があるというのが私の考え方です。

特にネットワークはもともと非常にボランティアに近いです。いまだにインターネットコミュニケーションの中にボランタリーなアソシエーションといった幻想を持っている人もいるし、ネットで他者と関わっていこうとすると、そういうアクティブな意識を持っている人たちが集まってくる。そういう人たちに一言呼びかけて、コミュニティサイトの中で、新米の人たちをナビゲーションしていく。募集していますとHPで告知するというよりは、アクティブに活動しているユーザーにダイレクトにコミュニケーションとっていく。そうするとやりたいと考えている気持ちを引き出せる可能性を広げられますね。企業でも同じことが出来ると思います。コミュニティサイト運営側も日々の運営、会社の問題もあるでしょうけど、一緒にやりましょうよと手を引っ張ってしまえば、出てきて下さる方々はいっぱいいる可能性がある。

- 運営側から声をかけることが難しかったり面倒だと感じて、やれないケースもあります。力量が必要ですからね。

ただ、これだけTwitter、SNSなどが流行って、個人と個人のつながりを促進する環境は整っているわけなので、それをやれる環境は整ってしまっているはずですよね。

まったく視点を変えてしまって、リアルな人にアメとしてネットコミュニケーションスペシャリストは実はおいしい商売なんだとしてしまうというのも有効な手段なんじゃないですか。本当はコミュニティサイトでも、どういうコミュニティのデザインをするのかという議論手探りでみんなやっている訳ですけれど、そこにスペシャリストのような人がコンサルに入っていくという形は作れないでしょうか。あるいはスタッフの一人にそういう資格を持っていないとコミュニティサイトは作れない、という形でもよいと思います。ソフト的なネット運営のノウハウを学び、経験した人をきちんと評価し、スペシャリストとして位置付ける環境作りですね。そして、そうした人材にには雇用や商売の場があると認識してもらう。実際に食べられるまでかどうか分かりませんけど、企業としては、その人を一人雇えば信用にもなる、という環境づくりですね。

今だって情報セキュリティの認証をもっていればという事がありますよね。外部のサイバーパトロールに頼むだけではなく、構築の部分から普段の運営、ベーシックな部分をどう運営するかの部分に関して、主体的動けるようなスペシャリストの資格を提案していって、そうした資格がコミュニティサイトに必要なんだとしてしまうと一般社会の方が納得し易いですし、どのコミュニティサイトにとっても有益な話になっていきます。

- いつも言ってることなんですが、コミュニケーションデザインの学問分野がないんです。それを新しく作らなければいけない時期と考えているんですね。現状でも、企業の中にいればスペシャリストとしてノウハウは積み重なってきますが、社内の中でもその価値が認められにくいですね。特に資格とかがあるわけではないので一般の人にはもっと分かりにくいと思います。今後、仕組み自体を作っていくことになるでしょうね。

人材は、たくさん転がっているんですよ。90年代にネットコミュニケーションで活躍したような人々っていうのが、今、単なる1ユーザーになっていて、そういう方々に、ネットやケータイインターネットの場でもう一回活躍してもらうっても良いなぁって思うんです。彼ら自身も今のネットコミュニケーションを見れば新しい知恵を出してくれるかもしれませんし。これも日々、刻々と変わっていく世界ですから、そんなに体系化された形にしなくても、毎年毎年考え方、カリキュラム、基本的な情報をこれまでの経験治験を含めて最大公約数的なところまで落として、やりながら作っていくとようにすればいいのではないでしょうか。

- コミュニティ管理者がどこで学ぶか、これから大変重要ですよね。コミュニティサイト運営のスペシャリスト養成講座みたいなものが必要ですね。要するに食品管理の資格みたいな感じで、管理側に最低一人は必要とするとかですね。

(鎌田真樹子 GrowingTree Evangelist)


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