須磨学園 理事長 西泰子氏インタビュー2
■制携帯のメリット、デメリット
- 同じものを統一して持つという学校にとってのメリットは何ですか。
西:自動車の例えをよく使うんですけれど、教習所って一律同じことを教えます。まず、教習所へ行って最初に習うのは、仕組み、交通マナーが第一段階です。それから仮免講習、試験などといろいろプロセスがあります。一律同じものを持てば、汎用性があり、みんながこれはこうして使うんだと分かりやすい。
また一括して同じ機種を購入すれば安くなります。各ご家庭への負担が少なくなるというのは、現実問題として重要な部分です。おそらく普通に携帯を契約するよりも、だいたい三分の一程度の料金負担で済んでいるはずです。
- フィルタリングはどのように?
西:今はホワイトリスト方式です。最初はブラックリストにしようと思っていたんですけれど、auさんのフィルタリングリストはホワイトリストしかなかったんです。ただ、高校では希望者は保護者の同意があれば解除できるんです。
- それは生徒さんの自主性にまかせるということですか。
西:そうです。教習所の車には、先生のところにブレーキ、アクセルがついてます。同じように本来だったらKDDIのサーバーを経由していくので、我々はログに手を出せません。ですがこのシステムでは、KDDIのサーバーから我々のサーバーを経由することによってログが残るんです。メールのログ、履歴も残るということで、高速道路のオービスみたいな格好で抑止力があるんです。いざとなったら「見るよ」ということです。
- デメリットはあるでしょうか。
西:それは制携帯に限らず、制服もそうですし、制かばんもそうですし、Uniと名前が付くものに共通して言えることだと思うんですけれど、「没個性」です。
- 端末は機種カラーも同じ?
西:中学生と高校生では、機種・カラーが違います。中学生は黒、高校生は白です。
- デコレーションをしている子もいるんですか?
西:いますね。キラキラのネイルアートのようなものとか、全面デコレーションだとか。先生たちの中でもやっていますし、シールを張ったりだとか。
- そういうのは禁止じゃないんですね?
西:禁止はしてません。制服ではオプションで人と違った着こなしと言うのを楽しんでるみたいですけれど、制携帯に関しても同じようなことが言えるかもしれません。
■制携帯でのコミュニケーション
- 子どもたち同士のコミュニケーションはどのように?
西:学校のグループウェアの中に、各学年の部屋があります。Mixiのコミュニティみたいなもので、意見を書いたり、メールを一斉送信したりしてます。また英語の教員が自分で和文英訳の教室を開いて、添削したりしています。
- 生徒同士は簡単にメールアドレスがわかるんですか。
西:苗字を入れるとリストで出てくるので、特に交換しなくてもすぐに分かります。
- 保護者の方からネットが使えなくて...という意見はあるんですか?
西:今ネットの接続率は、100%です。また使い方については、保護者に研修会をしてます。そうでなければ、学校からの連絡が見れないんです。
- 家庭でのネットの普及が、制携帯の導入を後押ししたところもあるんですね。
西:そうです、中高一貫生は、今一人一台ノートパソコン持っていたりしますけど、もっと持ち運びの出来る高度な情報端末に向かっていくんじゃないのかという方向が見えてきています。当初、iPhone、スマートフォンでやろうと思っていたんですけど本体価格とwebのフィルタリング管理が出来ないのでなしになりました。来年度からは、スマートフォンも検討しています。
- 私のイメージでは、学校と保護者のコミュニケーションは、お母様方が空いた時間に集まって顔をつきあわせてというイメージなんですが、今はネット上なんです。
西:そうです、日時を決めても仕事を持っておられる方は、参加できないですから。グループウェアの中で、各クラスの保護者のコミュニティがあって、議論が行われたり、掲示板に書き込みが出来るんです。また教員の書き込みに関しては、画像ファイル、チャット機能もあるんですね。先生からヨーロッパに行きました、パリに行ってきましたといったような写真データがアップされることもあります。
-先生と教師とのやりとりも身近になりますね。
西:距離は縮まります。その代わり保護者から24時間連絡が来ますから、教員にはそれが厳しいかもしれません。
-なるほど。これからのビジョンみたいなものはありますか?
西:今後一番大事だと考えているのは、WiFi機能が付いた端末です。いろんなコンテンツに、ワイヤレスでアクセスできる。語学教材、センター入試のリスニングテストというのは、学校にとって大変大きな課題となっています。リスニング教育のコンテンツを配信できるとなれば、大きなメリットがありますし。
今、ダイレクトにコミュニケーションをとりづらい子が増えてきています。将来的にひきこもってしまう可能性もあります。どうしたら子ども達が社会と接点を持っていくかということに関しては、今、インターネットが一つの拠り所になっている。彼らと我々学校をつなぐシステムは既にあるので、それを制携帯にどのように組み込んでいくかが今後の課題です。
次号に続く
(一般社団法人インターネットユーザー協会 代表理事 小寺信良)

