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石川県野々市町 町長 粟貴章氏インタビュー3

2010年3月31日
平成15年、小中学生に対して携帯不所持運動「プロジェクトK」を町ぐるみで展開しており、石川県の条例改正にも大きな影響を与え、インターネット環境整備法が検討された時には、全国ネットのニュースでもこの運動が報道され、県内外からの注目が集まった石川県野々市町。粟貴章町長へのインタビュー3です。

■いしかわ子ども総合条例改正の影響

-石川子ども総合条例の改正によって、県全体で子どもの携帯所持規制努力義務が課せられました。野々市町の運動は、この影響を受けるでしょうか?

粟:野々市における取り組みは、そもそも条例化を目指して始まったものではなく、石川県全体の動きとは異なった位置づけであると考えています。難しい問題でね、携帯電話と子どもの関わりでは、これが一番だというような解決策はなくて、それを模索する必要がある。条例化してそれで良いということではなく、それをきっかけに本質に迫る議論が始まれば一番良いとは思うんだけど。

-他地域からの視察などはどうですか?

粟:携帯不所持運動の取り組みの視察は、野々市が最も多く受けていると思いますよ。特に国で法律が作られた前後は取材などが大変な状況で、時間制約から断るケースが多々ありましたね。

桝谷:当時は仕事にならなかったですね。近隣でいうと、能美市は携帯不所持に非常に熱心ですけど、金沢市ではかなり温度が低いですね。今回の条例が施行されても、金沢市で取り組みはどこまでやれるのか、といった感じです。加賀市などはうちがテコ入れして独自の取り組みをしているんですけれど、石川県と金沢市はどう動くかが難しいでしょうね。

粟:金沢は...大きいですからな。やはり、うちぐらいコンパクトでさっと作って動ける規模だと、すぐ運動が広がっていけるメリットはあります。

桝谷:昨年6月に1回、町民アンケートをとってみたんですけど、携帯の不所持運動の認知率は、保護者よりも地域の中高年の女性層の方が高い。直接、小中学生の保護者ではない50歳以上の女性の認知率が高いということは、小中学生の保護者と先生より、先に地域の外堀が埋まっているんですね。

逆に問題は、保育園などの子どもを持つ世代である30代くらいの若い親たちにどのように啓発していくかが難しい。まだ意識もそんなにないでしょうし、若いうちから携帯電話を持っていた世代ですしね。それに就学前の子どもを持つ世帯は、町民会議に参加する前の年齢層であるし、さらにちょうどそのあたりが他地域から越してくる世帯でもありますし。

-規制反対派からの突き上げは?

粟:携帯事業者の立場からすれば反対に回るのは当然でしょう。ただ我々は、それ以上に携帯電話を取り巻く環境が良くなれば、それで良いんであって。県で条例が出来たからもう終わりというのではなく、お互いに必要な取り組みは続けていかなければならないという方向で受け止めてます。また運動も今までどおりというのではなく、県の条例が出来て、常に現状を見て対応を変えていかないといけない。

桝谷:実際にNTTドコモから支援金をもらって、モバイル社会研究所から講師をよんで進めた活動もあります。携帯の問題は考えず、学校にネット教育を導入してきた。ここではネットの弊害に、子どもを巻き込む可能性という視点がある。ここを考えていくことが大切ですよね。

だから絶対持たせないではなく、義務教育の間は持たせないでなんとかやってみませんか、という提案だと思っています。キャリアさんに対しても、持つなとは言っていない、中学生はちょっと待ってよという話であって、別に不買運動をしている訳ではないんです。

-東京を始め全国からみると、「不所持」だけにスポットが当っているようですが、そこは誤解を受けているという感じなんでしょうか?

粟:持つ、持たないというのがクローズアップされて、辛い部分がありますね。取り組みの方向なり、取り組みの一つでこういう事やってきたということなんで。他にもいろんな取り組みをやってますし、そういうことが紹介されずに不所持という点だけで言われてしまう。そういう面でも、青少年の携帯、情報化社会の中での影と光も含めて、国民の理解がまだしっかりされてないのかなと感じます。

桝谷:例えば車社会では交通戦争があり、交通安全運動が行われてきたことを例に考えると、情報支出はかなり多くなり、携帯社会は急速に進展している一方で、まだ環境整備は発展途上にあるという中で、子どもらに待ったをかけたということなんです。

■IT化の流れの中で

-最近、通信機能をもつゲーム端末がありますが、その対応は?

粟:テレビやゲームというものに関しては、当然そういう心配ははしてます。4年前から小学生以下の児童に対しては、第一水曜日にはノーテレビ・ノーゲームデーを設けてるんですよ。

まあゲームは正直言って、いまさら持つなというのもちょっと、あれですけど。ただ使い方によって携帯と同じ使い方が出来る機能を有する物に関しては、携帯であるという認識で。これまで持たせない運動をやってきたから、不所持について保護者が子どもに考えてもらいやすいし、話せる術は身につけているかなと思いますね。何もやっていなければ、野放しになるだけですからね。

桝谷:テレビも本格的な双方向デジタルが始まると、一種のデジタル端末になるんですけど、すでに町民の中から講師を読んで勉強会を開こうという取り組みが始まっています。

-ゲームの問題点とは、どこなのでしょう。

粟:第一には通信機能だけれども、ゲームそのものも長時間拘束されることがあると言われてますから、使い方の意識付けをしていくことが必要かなと。オンラインゲームは通信相手もあって、長時間拘束から逃れられないことが多いので、注意が必要ですよ。そんな意識付けも含めて、ノーテレビデーというのもやっているんですけれども。

-ノーテレビデーとは?

粟:いくつかの意味があって、まず家庭の団欒の時間を持ってもらいたい、というのが第一義です。月に1度くらいはそうした時間を持ってほしいという意味も含めて、テレビを消してみる。うちは出来ていないのだが(笑)...。

-娯楽のために長時間を使ってしまうことに対して、警告しているわけですね?

粟:この取り組みによって、いろんなことが見えてきます。家庭のあり方もみんなで考えてもらいたいし、基本的には携帯問題に限らず、親子がしっかり話す機会を持って欲しいという思いがある。家庭の相互理解が大切なんですよね。

-最後に、この携帯不所持の取り組みは、いつまで続けるんでしょうか?

粟:これまでずっとやってきたことは、継続してやっていきたいなと思いますけど、町民の理解が得られないようになればやめることになるでしょう。でもそうした状態にならないように対応していきたいし、そのために努力していきたい。

桝谷:そもそも業界団体やEMAさんが機能化されて、安全なネット社会にしてくれれば良いんですけど、現状、そういった社会整備がまだできてないものだから...。また法整備が出来て、自転車のように携帯を持てる時代が来れば、運動としてはいらないだろうという考えですね。

この号終了

(一般社団法人インターネットユーザー協会 代表理事 小寺信良)


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