石川県県庁インタビュー2
今回は石川県庁にて、健康福祉部少子化対策監室子ども政策担当課長 清水健次氏、保護者に対する周知・啓蒙を担当する立場から教育委員会事務局 生涯学習課 課長補佐 宮﨑謙治氏、学校に対する指導を担当する教育委員会事務局 学校指導課 生徒指導担当 課長補佐 川内斉氏にお話を伺った。
■条例の効果測定
-石川県全体で所持規制を行ってしまうと、比較対象が他県になってしまうので、条例の効果測定が難しくなってしまうのではないかと思います。石川県ならではの事情や特性を加味できないですよね。
清水:所持率が下がるのが目的ではなく、青少年が加害者、被害者にならないのが一番大事なので、そういったことが1件でも減ることが一番の効果かなと思っています。
-消費者センターや警察への相談件数も、効果を測る目安になりますか?
清水:警察の方ではいわゆる青少年に関わる事案が何件かあって、そのうち携帯電話がきっかけという事案が何件あってという統計はとられているので、その辺は参考になると思います。要は青少年が犯罪に巻き込まれないこと、加害者になったりすることはないようにということですんで、その辺は一つの指標にはなるのではと考えております。
-携帯電話、インターネットに関する意識調査などは行なっていますか?
川内:本県は平成20年10月に、公立の小・中・高等学校、私立の高等学校の児童生徒約13万人を対象に、携帯電話に関するアンケート調査を実施し、そこで児童生徒の利用実態が見えてきました。
また平成21年4月から、ネット上の巡視を行っています。本県の場合は、県立高校の情報技術に詳しい教員8名が4名1組で週に2回、半日かけてパソコンと携帯を使って、ネット上の巡視をしています。アドバイザーとして弁護士、県警少年課の方、携帯電話事業者にも加わっていただいております。
これによって、アンケート調査の数値からでは読み取れない子どもたちの携帯電話の利用実態が見えてきました。誹謗中傷、いじめの書き込みも若干ありますが、個人情報やふさわしくない画像などの掲載が多いです。
問題があると判断した書き込みについては、学校にすぐ連絡して、直接、学校の教員が保護者の協力を得て指導するようにしています。こういう直接的な指導の中で、情報モラルや規範意識を一つ一つ指導していくことが、本来の生きた生徒指導になると考えています。
■情報リテラシーの教育プラン
-条例を文面通りに読めば、高校で携帯電話を持つことになると思いますが、特に小・中の段階で情報リテラシー教育のプランはありますか?
清水:よく子どもから携帯電話を取り上げといて、いきなり高校で与えてどうするんだというお話をお聞きしますけど、いずれどこかで持つわけですし、それがどの時点で必要かというのは難しいと思います。実際に、小中学生は持っていないのが大半で、高校生になって急に大部分が持つようになって、高校生が事件に巻き込まれてしまう形になっています。情報リテラシーに関しては、今ではパソコン、携帯電話でもインターネットの面では同じになっていますが、そういった教育というのはこれまでやってきたわけですし、持っている、持っていないにかかわらずリテラシー教育は必要です。
-リテラシー教育は、県として何かカリキュラムがあるのでしょうか?
川内:特別なカリキュラムはありませんが、学習指導要領に則り、小学校では道徳や総合的な学習の時間、中学校では技術・家庭、高校では情報などの授業で行っています。
実際に携帯電話で起こっている様々な諸問題について、具体的にこんなことが起こっているから、こういうことに気をつけようと、分かりやすく子どもたちに指導していくことが大切だと思います。
本県では平成15年度にも携帯電話の実態調査をやっています。その結果を踏まえて、小中学校では携帯電話の学校への持ち込み禁止、高等学校では使用の制限などについて学校できちんと校内ルールを設けるよう指導しています。
特に小中学生の場合は、保護者を対象とした非行被害防止講座などにおいても、有効性だけでなく危険性もきちんと伝えて、必要のない限り、できるだけ携帯電話を持たせないように慎重な判断をお願いしてきました。そのような状況の中で条例改正がありました。高校生については非行防止教室というのをやっておりまして、我々と県警が連携して携帯電話の危険性や情報モラルの教育を行っています。
-携帯電話と非行というのは、どういう関係にあるのでしょう?
川内:生徒指導担当の指導主事や関係者が集まった会議等では、携帯電話を使うことで子供たちの動きが非常に広域化しているという話は出ています。
-広域化というと?
川内:いつでも、すぐに連絡がとれることによって、今までは狭い地域の中で遊んでいた子供たちが、お互いに連絡を取り合うことによって非常に動きが広域化しているということです。一方で、携帯電話を使うと、子供の動きが保護者から見えなくなります。潜在化していくと言いますか、保護者の方も自分の子どもがどんな友達とつきあっているのか、見えにくくなっています。したがって、これまで以上に大人同士が連絡を取り合って連携していくことが大切になると思います。
-携帯電話を持たせている親は、非行被害も含めて緊急対策で持たせている面があると思うんですけど、それに変わるシステムなんかはあるんでしょうか?
清水:何回も繰り返しになりますが、持たせないことが非常にクローズアップされていますけれど、条例の中でも基本的に防犯や防災などから、必要があれば持たすことは当然としています。条例で持たせないことを強制しているわけではないので、代わりのシステムが必要ということにはならないのかなと思っています。
-夜道が暗いなどやむを得ない理由があればということですか?
清水:はい。
-やむを得ない事情の正当性を判断するのは、誰ですか?申出書を受け取るのは販売店になるわけですが。
清水:正当性の判断は、販売店はしません。保護者が自主的に判断することになります。
以下次号
(一般社団法人インターネットユーザー協会 代表理事 小寺信良)

