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石川県PTA連合会副会長坂井浩明氏インタビュー1

2010年3月4日
石川県の携帯所持規制に至る経緯を遡って調査している。県議会で「いしかわ子ども総合条例」の改正案が可決される4ヶ月前、2009年2月に石川県PTA連合会は、「原則、小中学生に携帯電話を持たせない」という宣言文を発表している。これに至る経緯、そして県PTAのスタンス、課題などを、石川県PTA連合会副会長 坂井浩明氏に伺った。

■不所持宣言に至る経緯と意味

-PTAとして携帯電話が問題と認識されたのはいつ頃ですか?

坂井:県としては2008年、地域活動委員会という委員会で、ネット犯罪が社会問題化してくる中、子どもたちを守る取り組みを考えておりまして。ご承知の通り、石川県には先進的な取り組みを行っている野々市町*1がありますよね。その活動主体である「ののいちっ子を育てる町民会議」の方が各市町PTAで携帯の利便性と危険性について講演をされてまして、その頃から県PTAとしても携帯の問題を取り扱ってみようという動きがあったように思います。

(*1 金沢市に隣接する野々市町では、2003年から小中学生に携帯電話を持たせない運動を展開している)

-PTAとしては、携帯に係わる問題のどこを重視したのでしょうか?

坂井:特に、この部分といったように重点的に絞っている訳ではないです。ネットの怖さというものは、今までは外来者以外に家に入ってこなかったが、携帯電話によって誰もが24時間入ってこれるようになってきたことです。携帯電話を持たせないというのがすべての解決策にはなる訳ではないんですが、まずは歯止めとして持たせないことで、ネットの利便性もあるが怖さもあるという啓発を親に対して行いたかったというのがあったんですね。

-そもそも子どもに携帯を持たせるようになってきたのは、地域で育むといった機能が働かなくなっているせいなんですかね?

坂井:野々市町でこの動き(携帯電話不所持運動)が出たきっかけはそれなんですよ。野々市町は人口の流入が多く、携帯電話に係わる犯罪、問題が少しずつ出てきたころに、地域をいかに良くしていくかというところから始まったのではないでしょうか。阪神大震災の時にコミュニケーションがとれている地域は、死亡者が少なかったという話がありますよね。携帯電話も地域社会のコミュニティを促進するツールとして機能すれば、もっと支持されると思うんですよ。例えば防災情報やPTA情報等の配信など地域情報が携帯を通じてコミュニケーションするような仕組みがあるとか。私は昭和35年生まれですが、昭和50年代に生まれた親世代と携帯電話に対する考え方がやや違うように思います。世代によって微妙にとらえ方に差があるのではないでしょうか。我々の世代でも地域のコミュニケーションが薄れてきていまして、そこを携帯がフォローできれば、ありがたいツールになり得るんでしょうね。

-子どもが携帯を持つメリットとして、携帯だとお礼が言いやすい、口下手な子でも意見が言える等があります。親としては悩みながらも子どもに携帯電話を持たせ、リスクはうまく回避できないかと思っているんですけど。

坂井:デジタルデバイトの問題もあるので、持たせないことは解決ではないことは分かっているんです。だけれども12、13という未熟な歳で社会的理解力の無い子どもに、使って良い場悪い場を判断させるのは難しいということで、やっぱり持たせられないというのも理解できるんです。

あの宣言文は、今後撤回したり、文章を変える可能性も十分あり得るということで出したんです。なぜなら携帯、地域も変わっていくのならば、時代や環境の変化で対応しなければならない柔軟な姿勢が必要だと思っているからです。PTA特有の問題として、役員が2年ぐらいでどんどん替わるんですね。私も今年度で終わりですし、来年以降もこの考えを継続して申し送っていける体制にしていきたいですね。

-引き時が難しい、ということですね。

坂井:そうですね。見直す際に、その時の役員が「私の代で変えたらなんか言われるか」というのもあるでしょうし。そういう申し送りの弊害もあるんですよ。ただ時代の状況を捉えて柔軟に対応できる団体であると私は思いますけどね。

次号に続く

(一般社団法人インターネットユーザー協会 代表理事 小寺信良)